人気ブログランキング | 話題のタグを見る

生まれたときから・・・ 少しふしぎな歯小説
by sincebirth


Page 155~Reiko & Maiko

麗子と麻衣子は、お休みの日、久しぶりに待ち合わせをして
なんとなくショッピングをしたり・・・ そんな休日を過ごしていたのであった。
そして、とあるファミレスでお茶とケーキをほおばっていた二人である。

二人とも、歯科医院で治療を終えたばかりである。
そして共通しているのは、新しい前歯を入れられ、麻衣子は前歯4本の差し歯
そして、麗子は前歯6本のブリッジになっていることである。
麗子は麻衣子に、どう?もう前歯慣れた?と聞いていた。
もうあんまり気にならないけど、少しは違和感が残っているわ。
でも、私の場合 入れたばかりの奥歯のブリッジのほうが、まだ
違和感がすごいわよ。奥歯は、噛み合せている上顎の歯も、
クラウンを被せちゃったから、全体的に噛み合せが変わっているのかしら?
そう言いながら奥歯を指差していたのである。そしてそんな麻衣子の
奥歯には、まばゆいばかりに、光り輝くゴールドブリッジが入れられているわ。
麗子は、派手に治療されている麻衣子の奥歯を見ると、しっかりとした歯が
入っているけど、結構目立つわね。それでも、普通にかむ事に支障の無い
麻衣子のブリッジであった。

そして、麻衣子は、麗子はどうなの? まだ入れたばかりだけど、
慣れてきた?そう聞く麻衣子に、全然なれないわ。
やっぱり抜歯しちゃったせいかしら?
何となく、噛んでいる感触が鈍くて、結構不思議な感じよ。
それに、歯の裏側が結構狭くなっちゃってね。
見た目には、結構自然な感じなんだけどね。
とりあえず、そのうち慣れるのを少し待ってみるわ。

そう話しながら、ケーキを食べていた二人である。
もちろん、やわらかいケーキは前歯も奥歯も負担はなく、
硬いものと違い破損の心配も皆無である。
それでも、麗子は前歯6本に人工歯を入れられているためか、
話し方まで少し変わってしまったように思えていたのであった。
そして、唇側の前にも少し盛り上がっているわ。ようするに、
全体的に人工歯の部分は結構厚みがあるのね。
金属の土台で補強され、その上から、金属とセラミックで作られている
人工歯である。治療していない天然歯に比べると、どうしても
厚みが増してしまう。そんな麗子の前歯は少しでも違和感が少なくなるように
前にも少し出ているものの、それでも裏側も出っ張ってしまい、口の中が
狭くなっている麗子の口腔内であった。

そしてそんな悩みは、麻衣子も同様であった。
今までは、本数が少なかったからかしら?今ほど違和感は無かったわ。
でもさすがに4本の歯が差し歯になってから、結構狭いのよね。
でももう少しすれば慣れちゃうわ。 後はこの歯をいつまで使えるかが
問題だわ。今はまだ入れたばかりよ。問題なんてあるわけ無いわ。
でも、5年たったら? 10年たったら?わずかに残されている自分の根が
虫歯に侵されたらおしまいよ。私も差し歯には出来なくなるし、麗子なんて、
ブリッジの土台が駄目になったら、ブリッジにも出来なくなっちゃうのよ。
私なんて、奥歯は両側がブリッジだわ。被せてある金のクラウンは、
多分丈夫だと思うけど、残っている根は、とても弱くなっているはずだわ。
そんな弱い根で、他の歯まで支えているのよ。
壊れないほうが不思議かも?

ふと、麻衣子はそんな事を話し始めていたのであった。
そして麻衣子は、自分の母の事を思い出していた。
母はすでにブリッジが駄目になり、入れ歯にはしたくない。そんな事もあって
フルブリッジで、上顎の歯をすべて連結したブリッジが入れられているわ。
見た目には、真っ白く生え揃った歯に見えるけど、残された根は、本数も
少ないし、かなり弱いはずよ。そんな根で、上顎すべての歯を支えているんだもん。
いずれは、駄目になって入れ歯になるんじゃないかしら?
何も知らない人は、歯がキレイって思う人もいるんだと思うわ。
でもね、母の歯は、どうみても人工歯よ。それでもかなりキレイに
入れられているんだと思うわ。そう言いながら微笑む麻衣子の口元からは、
キレイに治療されている前歯が並んでいたのである。

お互い歯では苦労するわね。二人とも前歯は、真っ白い歯が整然と並び
知らない人が見たら、歯が悪いなんて分からないかもしれないわ。
でも、大きく治療されている歯は、もう根だけしか残っていないのよね。
そう話していた二人であったが、最近の子供って歯が悪いのよね。
そんな事を話していると、ふと麗子も私も見たわ。
歯科医院に来ていたけど、すでに前歯は差し歯、奥歯には銀歯が
入れられていたわ。まだ小学生よ。

小学生の治療であったためか、保健内治療で歯を入れられているらしい。
自費のキレイな歯に比べると、少し目立っているみたい。
あの子たちが、私たちくらいの年齢になる頃には、間違いなくブリッジに
なっちゃうのかしら? 二人はそんな話をしながら帰路についていたのであった。
# by sincebirth | 2006-09-09 07:19 | Stage 2

Page 154~Eriko's Re Treatment

英理子は、学校へ出勤する前に、歯を磨いていた。
つい先日までは、虫歯に侵されながらも天然歯の状態を保っていた
前歯は、すでに大きく削られ、土台を入れた上に、仮歯を
かぶせてある状態である。 そして、差し歯だった犬歯も、差し歯を外され
根の再治療を行い、現在は土台がはずされている状態であった。
元々、犬歯は差し歯になっており、再治療をされた根は、以前より更に
小さく削られ、すでに歯冠部分がほとんど残されていないような状態であった。

それでも仮歯を被せられていることで、削られてしまい、歯冠部分を失っている
前歯を再現し、違和感がありながらもなんとか普通に過ごすことができるのね。
そして、先日から入れられている犬歯の仮歯も以前入れていたメタルボンドの
差し歯と少し形状が違うわ。なんとなく舌触りも違和感を感じていた英理子である。

最近の子供たちは、自分たちも差し歯を入れている生徒が多い為か、
英理子の仮歯もすぐに、話題になってしまったわ。授業が終わると、
先生も前歯治療しているの? とか 先生の差し歯見せて!
という生徒が英理子に寄ってくる始末であった。 永久歯が生えてすぐに
差し歯を入れている生徒が多いこともあり、英理子は、先生も差し歯の
治療をしているのよ。そう言いながら生徒と話していたりしていたのであった。

治療が終わるまでの間だとは思っているものの、仮歯での生活は、
日常の授業にも違和感を感じている英理子である。話すことの多い英理子は、
どうしても、話している時に、舌が前歯の裏側に当たりやすく、何となく
話づらい状態であることが気になっていたのである。

そして、授業を終えると、保健室へ行って、保健の先生と少しおしゃべりをする
時間があった英理子は、仮歯が入れられていることを話していた。
意外とキレイじゃない?保健の先生はそう話しながら、英理子の口元を
覗き込んでいたのである。仮歯が入れられている英理子の前歯は、真っ白く
輝いている。しかし、歯冠部分は大きく削られ金属の土台が入れられているのね。

ちゃんとした差し歯が入れば、少しは違和感も無くなって慣れるわよ。
そう話していた保健の先生であった。
そして英理子は時計を見ると私そろそろ行かなくちゃ、歯医者の予約の時間だわ。
そう話すと、学校を後にする英理子であった。

歯科医院へ到着すると、いつものように診察券を受付に出して待合室で待っていた。
待合室に英理子だけしかいなかった為であろうか?受付の女性が、仮歯の
調子は如何ですか?そう声をかけられ、違和感があるのよ。舌がぶつかっちゃって
ちょっと話づらいわ。治療が終われば慣れるのかもしれないけど・・・
そんな事を英理子は話していると、そうですね。治療が終わってしばらくすると
自分の歯のように慣れますよ。そう話す受付の女性の口元からは、人工歯が
見えていたのである。英理子は、受付の女性に前歯は差し歯ですか?
そう聞くと、ブリッジになっているんですよ。そう答えていたのである。
やっぱり痛いですか?そう英理子が聞くと少し不思議に思っていた受付の女性も
治療のときは、神経を抜いたり、抜歯したりしましたから、痛みはありましたけど、
治療が終わってしまえば、私の前歯は神経がありませんから、痛むことも
ないですね。そう聞かされ、そういえば私の前歯も全部神経抜いちゃったのよ。
もう痛むことも無いのかしら?そんな事を話していると、診療室へ呼ばれ、
診療台へ座る英理子であった。

先生がやってくると、仮歯を外しますね。そう言いながら前歯6本に入れられている
仮歯を次々と外していた。そして仮歯を外されると前歯4本に入れられている土台
だけが目立つ英理子の口元である。
先生は清掃と検診を行うと、前歯4本の土台の状態に問題が無いことを確かめ、
あらかじめ技工されていた、犬歯のゴールドコアを取り出しキレイに磨き上げると
英理子の口元へ試着をしていったのである。
犬歯に何か押し込まれる感触を感じていた英理子であったが、ピッタリとコアが
入れられたことを確認すると、一度外し再びしっかりと固定されていったのである。

そして、先生はドリルを用意すると少し形を整えてから、印象トレーの準備を
行っていたのである。これから前歯の型を取ります。そしてメタルボンド冠が
次回までに作られますから、次回 ちゃんとした差し歯が入りますね。
先生は英理子にそう説明すると、英理子の口元へ、大きな印象トレーが
入れられ、型を取られていたのである。
そして噛み合せの確認のため、他の部位の印象もとってゆく。
そして型取りを終えると、先生は再び仮歯を英理子の口元へ装着していったのである。

治療を終えた英理子は、待合室で会計を済ませると化粧室の鏡で口元を
眺めていたのである。他の歯と少し色の違う人工歯の前歯は不自然な感じだわ。
仮歯だから仕方がないのね。そういえば受付の女性のブリッジはかなり自然な
感じだったわ。それでも近くでよく見ると、歯が連結されているのが分かるのね。
私もこれ以上歯が悪くならないように気をつけなきゃ・・・
そう思いながら歯科医院を後にする英理子である。
# by sincebirth | 2006-09-07 08:57 | Stage 2

Page 153~Eriko's Core

英理子は教員である。毎日の授業があり、毎日決まった授業をこなさなければならない。
仕事であり当然でもあったが、現在 前歯の治療中である英理子は、
そんな当たり前の事に少し苦痛を覚えていたのであった。

先日から、前歯の治療が始められ、すでに4本の前歯は大きく削られ、
神経を抜き、真っ白い仮歯が入れられていたのである。問題はこの仮歯であった。
見た目にはとてもキレイに見えるわ。今までの虫歯になってしまった天然歯に
比べ、真っ白く輝く歯はキレイであった。しかし、そんなキレイな歯でも、
少し厚みもあり、唇側、そして歯の裏側共に、天然歯よりも厚みがある為、
かなり違和感があるわ。それに厚みのある前歯は、口の中が狭くなったように
さえ感じるのね。話しているときも、時々舌のやり場に困るわ。なんとなく、
話すときに動かす舌が前歯に当たってしまう感じなのであった。

そして、英理子は学校では何かと話すことがとても多い職業である。
そんな英理子は、入れられていた仮歯になかなか馴染むことも出来ず、
ついつい治療中の前歯の事を気にしてしまう日々が続いていたのであった。

そして気がつくと再び、治療の日を迎えていたのである。
授業が終り、次の日の授業の準備を済ませると、少し早めに学校を
後にすると、歯科医院に向かっていた。 まだ少し時間があるみたいだわ。
しばらく待合室で待たされていた英理子はそんな事を思っていた。
そして、診療室へ呼ばれ、診療台へ座る。先生がやってくると、
仮歯を外しますね。そう説明があると前歯に入れられている4本の仮歯を
丁寧に外されていたのである。 そして仮歯を外すと、わずかに残された
歯質に詰めてある仮詰めを外し、キレイに磨き上げてゆく。

キレイに清掃されると、先生は石膏模型につけられているゴールドコアを
取り出し、こちらもキレイに磨き上げてゆく。
そして、英理子の口元へしっかりと試着すると、ピッタリとフィットした
コアであった。 一度外し、再びしっかりと固定していく。
そして固定されたゴールドコアの継ぎ目の部分を少し削り、天然歯と
しっかりと密着するように調整されていったのである。

そして、調整されたコアは天然歯と一体となり土台を形成していたのであった。
英理子も土台をいれたのね。思っていた以上に大掛かりな治療をされ、
少し不安が残る英理子であったが、先生は今日はこれから左右の
犬歯に入れられているメタルボンド冠を取り外します。そして、虫歯になって
しまっている土台の治療をしてから、再び新しい冠を被せますね。
そう説明されると、先生はドリルの歯を取替え準備を始めていたのである。

そして、英理子の口元にドリルが準備されている。
先生は、犬歯のメタルボンド冠を注意深く検診していたのであった。
ほとんど変色していない差し歯は、真っ白く輝いている。そして根元部分には
黒ずみが見え歯茎も変色が始まっている状態であった。
先生は、そんなきれいな差し歯をドリルで削り始めてゆく。
美しく輝いていた差し歯に、亀裂が入れられてゆく。
そして表面に亀裂が入れられると、少しずつ内側の金属面が
露出し、キレイだった差し歯には大きな亀裂が入れられていったのである。
そしてその亀裂が噛み合せ面近くまで開けられると、先生は一度
ドリルを口元から取り出し、器具を使い被せられているメタルボンド冠を
取り外してゆく。大きな亀裂が入れられている差し歯は、無残にも
壊されているような状態で口元から外されていったのである。

左右の差し歯が取り外されると、土台のゴールドコアが見えている。
そしてその根元部分に残されている天然歯質が虫歯になり、
真っ黒く解けているのが分かる。先生はそんな土台を削り始めてゆく。
虫歯部分を削り終えると、金で作られている土台を取り外していたのである。
金属製の土台を支えている歯質を削ってしまっている。
詰めて治療することも出来ないことはないものの、詰めただけでは、
強度が足りず、将来土台を支えられなくなり、歯が割れてしまう可能性も
ある為、改めて今の状態にフィットするような土台に入れ替える必要が
あったのである。

残されている天然歯を整形し、土台も外された犬歯は、大きく穴のあいた
根だけが残されているような状態であった。
どうしても、残されている根の部分が虫歯になると、歯冠部分に残されていた
わずかな天然歯は削られ、ホントに根だけの状態になってしまう。
そして、仮歯を入れるために仮の土台が装着され用意されていた
仮歯を合わせて装着していったのである。そして今日土台が入れられた
ばかりの4本の前歯にも調整された仮歯が再び装着されてゆく。

英理子は、犬歯に入れられた仮歯も少し形が違うわ。
そう思いながら違和感を感じていたものの、鏡を見せられると、
前歯4本と同じ色の仮歯が犬歯にも付けられているわ。
見た目は決しておかしくないのね。そう思っていると、
次回、犬歯に土台が入れられます。それから6本のメタルボンド冠を
技工して装着します。先生にそう聞かされ治療を終える英理子であった。
治療が終わるまでもう少しかかるわ。ちゃんとした歯が入れられれば
今よりは違和感がなくなるって先生も言ってたけど、ホントかしら?
前歯6本が仮歯になってしまった英理子は、奥歯だけが頼りである。
奥歯には、金で作られているインレーとクラウンで治療がしてあるわ。
しっかりと治療されている奥歯は、問題ないみたいだわ。
そう思いながら小さな手鏡を口元へあてると、口をあけて奥歯を見てみる。
キラリと輝く第一大臼歯のゴールドクラウンが目立っている奥歯を
見つめると、再び歩き出す英理子であった。
# by sincebirth | 2006-09-05 01:52 | Stage 2

Page 152~Reiko's New Bridge

以前、前歯3本に差し歯が入れられていた麗子は、食事の時に
硬いパンを前歯でちぎってしまったことが原因で、前歯を破損していたのである。
そして、そんな麗子は、新しい歯が入れられるまでは、仮歯生活になっていた。
違和感は抜けないものの、ある程度は慣れてきた・・・というよりならされてきたような
感じであった。

6本の歯を治療中の麗子は、前歯に大きなブリッジの仮歯が入れられている。
そして、6本連結された人工歯の仮歯が無ければ当然生活が出来ない状態であった。
いつもの通り少し気を使いながら朝食をとると、歯を磨いていた。
相変わらず前歯は違和感があるわ。そう思いながらも、キレイに歯を磨き上げると、
鏡をついつい見てしまう麗子であった。
白い歯が入っているものの、自分の歯と少し色調が違うわ。
それに、6本の歯が連結されているため、どうしても歯と歯の間が、
繋がっていて少し不自然に感じていた麗子である。少し離れていれば
多分気がつかないのかも? 自分で気にして見ていると、明らかに
歯が繋がっているのが分かってしまう・・・ そんな麗子の口元にも、
今日、しっかりとしたブリッジが入れられる予定であった。

前歯の治療は、中学生の時、初めて差し歯を入れて以来だわ。
あの時も、虫歯で大きく歯を削られちゃって、大きな差し歯を入れられたわ。
このまま一生差し歯だと思っていた前歯は、ついにブリッジになっちゃうのね。
そう思いながら、支度をすると歯科医院へ向かっていた麗子である。

午前中の歯科医院は比較的静かだわ。そういえば、子供がいないのね。
学校が始まったからかしら?そんな事を思っていると、受付の女性に
呼ばれ、麗子は診療室へ入ってゆく。
衛生士さんが、エプロンをかけると、先生が口腔内の検診を始めていたのである。
そして、仮歯を外しますね。そう言われ丁寧にブリッジになっている仮歯を
外していったのである。 そして仮歯を外した口元をキレイに磨き上げてゆく。
抜歯した部分は大きな空間になり、土台の歯には、メタルコアが装着されている
状態であった。 そしてキレイに清掃されると、ブリッジを合わせます。
そう説明されると、先生は石膏模型に付けられている真っ白いブリッジを外し
麗子の口元へ装着していったのである。

近くで見ると、真っ白く見えていたブリッジも少しクリーム色のような状態に
見えているわ。そして裏側は半分くらいの部分が金属で補強されているのね。
以前入れていた差し歯も、裏側は金属だったわ。ブリッジも付けちゃうと、
以外に分からないものかしら?そんな事を考えながら、口をあけていると、
土台で補強されている歯に、ブリッジを合わせて装着してゆくのである。
そして噛み合せを確認すると、先生はブリッジを外し、ドリルを用意して、
わずかにブリッジを削っていたのである。

そして、再び口腔内へ、・・・
噛み合せを確認しながら調整を行うと、如何ですか?そう聞かれ、
麗子は、仮歯とはまた違う違和感を感じていたものの、噛み合せが
大きく変わったり、痛みを感じることも無いわ。そう先生に話すと、
ブリッジが麗子の前歯へしっかりと固定されてゆくのであった。

そして固定を終えると、麗子は軽く口をすすぎ、先生から手鏡を
渡され、前歯の状態を見ていったのである。
不思議と、ブリッジの色調は、自分の歯とあまり変わらないわ。
かなり自然である。また6本の歯が連結されていながらも、
なんとなく普通の歯のように見えているわ。
多分、これならよほど近くで見るか、人工歯の事をよく知っている人
でもないと、分からないんじゃないかしら?

むしろ、中途半端に3本だけの差し歯よりも、前歯6本が同じ色の
人工歯で入れられていることから自然に見えるわ。
でも、前歯が少し外側へ出っ張っているのかしら?
そう思い先生に尋ねると、ブリッジの部分は少し厚みが天然歯よりも
ありますので、前にも少し出っ張り、裏側も少し引っ込んでいるような
感じになっています。そう説明されていたのである。

そういえば、以前の歯も少しそんな感じだったかしら?
多分本数が増えたためか、唇側も、大きく膨らみ
裏側も厚みが増えたように感じたのかもしれないわ。
新しく入れた歯は、とても美しいわ。やはり仮歯とは完成度が
違う感じね。 それでも、大きな人工歯が入れられた、前歯は
どこか無機質で、やっぱり生きている天然歯ではない・・・
そんな印象を感じるわ。もちろん、他の人はそんな事
思いもしないかもしれないけど・・・

そう思っていると、先生は仮歯よりはずっと強度もあり、
普通に生活できますが、6本の歯を4本の根でささえていますので、
あまり硬いものを噛んだりしないでくださいね。
見た目はしっかりとしていますが、強度は確実に
天然歯より弱いですから・・・ そう説明され、これからは
もっと気をつけないといけないのね。これ以上、抜歯されたら
私も麻衣子のお母さんみたいにフルブリッジかしら?
以前、行った時に見せてもらったけど、大変そうだわ。
見た目は、不自然なくらい真っ白い歯だけど、上顎の歯全部が
人工歯になってるし、お母さんの歯も相当弱いんじゃないかしら?
しかも、麗子と違い、奥歯まで連結されているわ。
前歯だけじゃなく、奥歯で噛むときも気をつけないと、
破損しちゃうわね。

そう思うと、この前歯のブリッジを少しでも長持ちさせないと
いけないんだわ。そう思いながら、歯科医院を後にする麗子であった。
# by sincebirth | 2006-09-03 05:05 | Stage 2

Page 151~Front Teeth Care

歯科医院へ行ってから数日後、小学校でも二学期になっていた。
そして、英理子は沢山の子供の待つ学校へ通っていたのであった。

クラスでも、よく見ると新たに、差し歯やクラウンが入れられている子が
いるわ。やっぱり夏休み中に結構治療していたのね。
そうは思うものの、治療をする前の歯も見ていた英理子は、仕方がないわ。
あんなに大きな虫歯になっていたら、治療するしかないのよ。
それに、私の虫歯と違い、生えてくるときから虫歯になっていたのでは、
防ぎようが無いし・・・ そう思いながらも、いつもと変わらない気持ちで
子供たちに指導している英理子であった。

そして、子供たちが下校し、先生たちは食事を済ませると、ふと
保健室へ向かう英理子の姿があった。 そして保健の先生に、
先日歯科医院へ行ったわ。そんな話を始めると、早速行ったのね。
英理子は、話を続けていた。やっぱり前歯は虫歯だって・・・
それで、差し歯にしなくちゃいけないって言われたわ。
でも、まだそんなに大きな虫歯じゃないじゃない・・・
あちこち詰め物をすればなんとかなるんじゃないかしら?

そんな事を話す英理子であったものの、口腔外科にも詳しい保健の先生は、
改めて、英理子の前歯を見ると、やっぱり差し歯よ。
前歯って薄いでしょ。小さく見える虫歯も削ってみると大きな虫歯よ。
この前歯なんて虫歯だけを削ってもそこらじゅうに穴があいちゃうわ。
そう言いながら、英理子の中切歯を指差していたのである。

犬歯は差し歯でしょう。いっしょに入れ替えちゃったら・・・
歯茎との境目がかなり黒くなっているし、ここも虫歯の可能性があるわ。
そう話す先生に、英理子は、犬歯も差し歯の内側が虫歯だって
言われたわ。それで、6本の差し歯を入れることになっているの・・・
ふとそんな話をしていると、その治療って多分正解よ。
それに差し歯だったら、最初のうちは違和感があるけど、すぐに慣れるわ。
自分の歯と変わらずに暮らせるわよ。そんな事をはなしている保健の
先生である。それほど歯がいいとは言えない英理子であったが、
そんなに悪くなっているとは・・・ もっと早く気がついて歯医者さんに
行けばよかったわ。そんな事を話していると、保健の先生は、
英理子の歯って、歯並びがあまり良くないじゃない。
そういう歯って虫歯になりやすいのよ。汚れもたまりやすいしね。

そして英理子は、保健室を出ると、その後も遣り残していた授業の
支度を行うと、学校を後にしていたのである。
やっぱり差し歯かぁ~ 英理子はまだまだ若いのに・・・
そう思っていたものの、そろそろ歯も大きな治療を受けて差し歯に
なっちゃったりする頃なのね。 そう思いながら英理子は歯科医院へ向かう。
そう、今日から治療であった。

歯科医院の待合室でしばらく待っていると診療室へ呼ばれる。
診療台へ座りエプロンをかけられると、先生が検診を始めていた。
先生は、前歯の治療を始めますね。今日は削って神経を抜きます。
そう説明されると、少し緊張している英理子の前歯に麻酔が打たれていた。
そして麻酔が効いてくると、英理子の口元にドリルが入れられ、前歯が
削られてゆく。大きな音と振動を感じていたものの、不思議と痛みは無いわ。
麻酔で分からないのね。そう思っていると、時折痛みが出てきたのである。
先生は一旦削るのをやめると、再び注射の用意を始めていた。

そして、少し痛みますよ。そう話しながら、英理子の歯へ注射が打たれていた。
ものすごい激痛が英理子を襲い、その後痛みは無くなっていたのである。
先生は丁寧に神経を除去していく。そして神経を抜き取ってしまうと、
再び、歯を削り始めていた。痛みを感じなくなっている歯は、小さく細く
削られ、整形されていったのである。そして神経を抜いてしまった根の
部分に薬が詰められてゆく。そして印象トレーが用意されると、
英理子の前歯の部分にしっかりと固定され、印象が取られていたのである。

数分後、印象を取りおえると、仮詰めをして、口をすすいでいた。
英理子は、前歯がほとんど無くなっているのを感じていたのである。
先生は、仮歯を用意すると、削りながら英理子の口元へあわせて行く。
何度かの調整を行い、英理子の口元には、真っ白い仮歯が装着されていたのであった。
先生は鏡を英理子に見せていた。 自分の前歯がどのくらい削られていたのかは
何となく分かるわ。それでも上から仮歯を被せられた前歯は真っ白い大きな
人工歯で埋め尽くされていたのであった。

次回金属の土台が入ります。強度がかなり弱いですから、前歯でものを
噛まないように気をつけてくださいね。そう説明されると、英理子は
診療室を後にしていたのである。茶色く虫歯になっていた前歯は、
大きく削り、仮歯が入れられている状態である。待合室へ戻った
英理子は鏡を見ていたのである。真っ白くキレイに並んでいる歯は
仮歯であった。とてもキレイには見えるものの、そこに見えている歯は、
人工歯なんだわ。英理子はついに前歯が全部差し歯になっちゃったことを
実感していたのであった。

そして会計を済ませると、歯科医院をあとにする英理子である。
# by sincebirth | 2006-09-02 06:51 | Stage 2