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生まれたときから・・・ 少しふしぎな歯小説
by sincebirth


Page 304~Rina's Core & Temporary

先日、小学校の卒業式を終えた里奈は、現在春休みである。
来月からは、中学校へ行く里奈も、ホッとする春休みである。
しかしながら、今年の春休みはいつもとちょっと違うわ。
それは現在、歯医者さんに通っていることであった。

今までもあちこちの歯の治療を受けていた里奈であったものの、
一度にこんな沢山の歯を治療したのは、当然始めてだわ。
それに治療の本数だけではなく、かなり大きな虫歯になっていたのである。
すでに、奥歯から前歯まで殆どの歯は、クラウンの仮歯に
なっている状態だわ。それでも何とか歯を残して抜歯を免れている
というのが正しいのかもしれなかった。

そして治療は進み、すでにほとんどの歯に土台が入れられている状態であった。
現在、治療中の左上奥歯だけは、土台を入れるための準備が終わり、
大きく削られた歯は、根の治療を行い、穴をふさいでいる状態だわ。
従って、左上の奥歯が無い状態であり、現在はすでに仮歯が入れられている
右側で噛んでいた里奈である。

今日は、里奈の治療の予約が入っている日であった。
いつものように母親に連れられ歯科医院へ向かっていたのである。
里奈は、母親の歯を見つめると、真っ白い歯が印象的だわ。
でも何となく天然歯と違うような気がするわ。そんな母親の大きな
ブリッジを見ると、私の歯もこんな感じになるのかしら?
里奈のクラスメートでも、先日 前歯を差し歯にしていた友人がいた。
見た目はとてもキレイな真っ白い歯になっていたけど、本人は、
自分の歯とは全然違う感じだったらしいわ。里奈も前歯は仮歯である。
確かに違和感はあり、自分の歯とは舌で触った感じも違うものの、
とりあえず、そんなものかな?って思っていたのであった。

そして歯科医院の待合室へ入ると、午前中にもかかわらず、
里奈のような小学生が数人待っているわ。春休み中ということもあり、
次々に治療にやってくるのね。しばらく待たされると、里奈が
診療室へ呼ばれていた。 診療台へ座ると、いつものように
エプロンをかけられる里奈である。

先生は、里奈の口元を検診すると、左上奥歯に詰められている仮詰めを
取り除いていた。キレイに取り除くと、根の治療を終えた歯根部分に
ポッカリと大きな穴が開いている状態である。大きな虫歯治療を
していた奥歯は、殆どの部分が削られ、根だけが残されている状態であった。
先生は、技工されたメタルコアを取り出すと、里奈の奥歯に仮付けを
していたのである。根の部分に開いている大きな穴に、金属の心棒が
差し込まれてゆく。ギュっと押し込むと金属の心棒が固定されていたのである。

先生は一度外すと、再びしっかりと固定をしてゆく。
神経を抜いてしまった奥歯の根はとても弱くなっているのである。
金属の土台で補強し、歯茎の上には土台だけが出ている状態になっている。
ドリルの準備をすると、固定された土台の部分を改めて整形してゆく。
大きな音をたてて少しずつ土台が削られているのは、里奈にも分かっていた。
振動と音が伝わるわ。それでも当然痛みは何も無い状態であった。

整形を行うと、先生は他の歯に入れられている仮歯を次々に外し始めていたのである。
左下奥歯、右上下奥歯、そして前歯の仮歯まで外されると、里奈は、
口の中から歯が無くなり、小さな土台だけが残されているのを感じていたのである。
金属製の土台だけになった口元を改めて検診を行ってゆく。
その頃、衛生士の茜は、印象材を印象トレーに準備していたのである。

先生は、小さな口元へ、印象トレーを入れると、歯茎にギュっと押し付けていた。
大きなトレーを入れられたまま、数分間待っていた里奈は、あまりいい気分じゃないわ。
そう思っていると、そっとトレーを外され、上顎の印象をとり終えていたのである。
すると、今度は下額の印象である。再び印象トレーを入れられると、ギュっと
固定され、再び数分間そのまま待たされていたのである。

固まり始めていた印象材を外すと、再び仮歯を里奈の口元へ装着していたのである。
土台だけになっていた里奈の口元へ仮歯が装着されると、人工歯ではあるものの
歯が入れられた状態に少しホッとしていた里奈である。

次回、新しい歯が入りますね。そう説明され、診療室を後にしていた里奈である。
待合室で待っていた母親の所へ行くと、次回 新しい歯が入るらしいわ。
そう母親へ伝えていたのである。相変わらず仮歯が入れられている娘を
見ると、そろそろ治療も終わるのね。そう思っていた母親であった。
里奈の口元を見ていた母親は、私は小学生の時はそんなに歯が悪くなかったわ。
それでも大人になるころには被せた歯も増えてきて、被せた歯に虫歯が
再発すると、次々とブリッジが入れられ始めていた。
気がついたら、あちこちの歯が連結されているような状態だわ。
里奈は大丈夫かしら? これから中学生だというのに、殆どの歯は、
クラウンと差し歯だわ。今度駄目になったら、ブリッジになっちゃうのよね。
自分もそうであった母親は、クラウンや差し歯を入れていると、
いずれ虫歯が再発したりして、再治療が必要になることを分かっていたのである。
そして、今度はブリッジが増えていってしまうのである。

見た目には真っ白い歯に見えても、人工歯が増えてしまうのよ。
ふと自分の歯を舌で確認しながら、そう思うと里奈と一緒に
歯科医院を後にしていたのであった。
# by sincebirth | 2007-03-22 06:49 | Final Care

Page 303~Marie's New Front Teeth

麻里絵は、朝 歯を磨いていた。丁寧に磨き終えると、鏡で口元を
覗いてみる。前歯から奥歯まで、真っ白い歯がキレイに並んでいるわ。
しかし、現在の麻里絵の歯は、ほとんどの部分に人工歯の仮歯が
入れられている状態である。 真っ白い歯が並んでいる奥歯も、
すでに連結されたブリッジであった。
若い頃は、多少の虫歯があったものの、それほど悪いとは思って
いなかった麻里絵であったが、再治療を行うと、確実に人工歯が増え
健康な歯を失っていたのである。

上顎の歯を見ると、すでにすべての歯に仮歯が被せられているわ。
見た目にはキレイに見えるものの、すでに根だけが残されている状態であり、
一部の歯は、すでに抜歯されている状態だわ。表面からは分からないものの、
裏側から見ると、連結されている事が分かるのね。ふと口元を覗きこんでいた
麻里絵は、そんな事を感じていたのであった。

麻里絵は着替えると、支度をしてから歯科医院へ向かっていた。
午前中に予約が入っているためである。学生の時は数本の虫歯を
治療した状態であったものの、20代 30代と治療を繰り返し、
人工歯の本数も増えてきたわ。 そして今回の治療では、ほとんどの歯が
人工歯を入れられる状態になっていたのであった。
歯科医院の待合室へ到着した麻里絵は、診察券を出すとしばらく
待っていた。 そして診療室へ呼ばれ入ってゆく。

診療台へ座ると、エプロンをかけられ 衛生士さんが石膏模型に付けられている
差し歯をテーブルの上に置くと、先生がやってくる。
検診を始めると、前歯の仮歯が取り外されてゆく。 麻里絵の前歯は、
仮歯が外されると、細い金属の土台だけの状態になっていたのである。
先生は、土台の部分をキレイに磨いてゆく。
そして、テーブルの上の技工物を取り出すと、石膏模型から人工歯を外し
麻里絵の口元へ試着を行っていた。

新しい歯が装着されると、噛み合わせの調整を行っていたのである。
セラミックと金属で作られている歯が、麻里絵の口元で輝いている。
試着していた麻里絵は、何となく前歯に少し厚みを感じていたのであった。
先生は、新しい歯を一度外すと、再びしっかりと固定してゆく。
そのまま暫くの間、固定されていると、麻里絵も新しい前歯が入れられたことを
実感していたのである。どんな感じの歯なのかしら?
そう思っていた麻里絵に鏡が手渡されていたのである。
口元を見ていた麻里絵は、仮歯よりも自然だわ。そして思っていたよりも
口の中では、人工歯が大きく見えるのね。そう思っていると、先生は、
奥歯の印象を取ります。そう説明すると、奥歯に入れられている仮歯を
次々と取り外していたのであった。

衛生士さんが、印象トレーに印象材を用意すると、先生が口元へ
しっかりと固定してゆく。しばらくそのまま印象を取られると、
トレーを外してゆく。 左右の奥歯の印象を取り終えると、
再び仮歯を土台の上から被せられていたのである。

次回、奥歯にも新しいブリッジが入ります。先生にそう言われていた麻里絵は、
治療を終えると、奥歯には再び仮歯が入れられた状態で診療室を
後にしていたのである。待合室に戻った麻里絵は、手鏡で前歯を見てみる。
新しい前歯はキレイだわ。そう思いながら、歯の裏側を見てみると、
金属で補強されキラキラ光っているわ。これも今までの差し歯と同じね。
舌で触ってみると、ヌルヌルとした金属の舌触りだわ。
そう思いながら鏡で見ていると、奥歯は仮歯が入れられたままである。
受付で呼ばれ、会計を済ませ、次回の予約をすると、歯科医院を
後にしていた麻里絵であった。
# by sincebirth | 2007-03-19 06:19 | Final Care

Page 302~My First Celamics

茜は朝食後、いつものように歯をキレイに磨き上げると、
鏡でチェックをしていたのである。大きな口を開けて鏡に
写っている茜の歯は、殆どが人工歯である。
金冠を被せている大臼歯以外は、セラミックで治療が
してあることもあり、表面的には真っ白い歯であったが、
裏側は、意外とキラキラと金属が目立っているのである。
それでも、普通の人より時間をかけて、しっかりとお手入れを
している茜の歯は、キレイな状態に保たれていたのであった。

そして、出勤の支度をすると、いつものように車で歯科医院へ
出勤していたのである。
更衣室で着替えながら、少し時間があると、スタッフで
おしゃべりが始まるものである。普段は、マスクをしていないと
気がつかないけど、スタッフも人工歯のお世話になっている人って
少なくないわね。他のスタッフの口元を見ると茜はふと、そんな事を
思っていたのであった。

そして、開院準備が始まると意外と慌しい。
準備が整うと、すでに開院の時間である。いつものように
患者さんがやってきては、治療が始められている。
そんなどこにでもあるような、普通の歯科医院で働いていたのであった。

そして、あと一人の患者さんでお昼休みかしら?
そんな時間にふと、一人の若い女性が入ってきていたのである。
茜より少し若い感じの患者さんは、清楚でキレイなお嬢さんタイプだわ。
茜はそんな事を思いながら、カルテを手にすると、技工物を取りに行ったのである。
前歯の治療ね。茜が手にしていた技工物は、前歯のセラミッククラウンであった。
カルテを良く見てみると、前歯の虫歯だわ。今は、仮歯が入っているのね。
そんな事を思いながら、技工物をテーブルに置くと、先生がやってくる。

そして検診がはじまり、上顎前歯の樹脂で作られている仮歯が外されてゆく。
治療の補助をしていた茜は、取り外されると前歯の部分に金属のコアが
入れられているのが見えていたのである。
茜は、そんな口元をキレイに磨き上げてゆく。仮歯が付けられていた土台には、
接着剤の残りが付着していたりすることもあり、しっかりと磨き上げる必要が
あったのである。

先生は、技工物を石膏模型から外すと、位置を確かめ仮付けをはじめていたのであった。
セラミッククラウンといっても、裏側が金属のいわゆるメタルボンド冠である。
表面から見ると、真っ白いキレイな歯に見えるメタルボンドも、手にとって見ると、
意外と金属部分が多いものである。裏側はもちろん、被せる部分はすべて金属で
出来ており、どちらかというと、表面にセラミックでお化粧をしているような感じなのである。

そして仮付けをすると、先生は適合をチェックしてから、噛み合せのチェックを
はじめていたのである。特別問題のない状態だったこともあり、意外と早く
前歯のメタルボンドが固定されてゆく。
すべての歯の固定を終えると、先生は鏡を見せながら、新しい前歯を
患者さんに見せていたのであった。

すると、患者は少し不思議な面持ちで、先生に尋ねていたのである。
何となく、舌触りに違和感があるんですけど・・・
茜は、当たり前じゃない。天然歯とも、樹脂の仮歯とも材質が違うわけである。
そして裏側は金属で裏打ちされているメタルボンドは陶歯で出来ている表面も
金属部分がある裏側も、今までの歯とは材質が違う。
噛み合わせはともかく、舌触りは慣れるしかないわ。
ふとそんな事を思っていると、先生は同様の説明を患者さんにしていたのであった。

今までの樹脂の歯に比べ、セラミックの歯は、表面がツルツルしているはずだわ。
そしてもちろん、裏側は金属特有のヌルヌルした感じがあるのかも?
考えてみれば、この患者さんは、メタルボンド冠デビューなのよね。
違和感があるのも仕方がないわ。 私なんて長年使っていたためか、
慣れているわ。 最初はやっぱり違和感があったのかしら?
ふとそんな事を思っていると、先生から 舌触りはだんだん慣れてきますから
少し様子を見てくださいね。そういわれた患者さんは、納得するしかなく、
うなずくと、美しい前歯を眺めていたのであった。

この女性も、前歯6本の神経は抜かれているわ。
すでに、天然歯質は根の部分だけね。 そう思いながら茜は、患者の口元を
磨き上げると、治療は終わりである。患者さんも虫歯に侵され、色が変色していた
前歯が、真っ白い美しい歯に変わったことに見た目はとても満足しているみたい・・・
もっとも、メタルボンドで白い歯が入るのは当然だわ。
どんな色の歯にでも出来るんだから・・・ もともと天然歯質も真っ白い歯であった
患者の前歯は、一段と輝いて見えていたのであった。

そして、まだ慣れないこともあり、違和感を感じていた女性は、治療も終わり、
診療室を後にしていたのであった。
この女性は、最近の子供と違い、生まれた時から虫歯だらけ・・・
というような状態ではないのね。むしろあと数年若い子のほうが、
歯は、相当悪いわ。多分殆どの歯にブリッジを入れている子が
多いんじゃないかしら? 茜はふとそんな事を思うと、治療を終えた患者を
待合室へ送り出していたのである。

そして、片付けを始めると、外したばかりの仮歯も片付けながら、
ついにあの女性も、差し歯生活の仲間入りね。
茜はそんな事を思いながら、片付けを終えると、お昼休みの休憩を
取っていたのであった。
# by sincebirth | 2007-03-16 23:37 | Final Care

Page 301~Marie's New Celamics

とある日の昼下がり、麻里絵は久しぶりに会った友人とおしゃべりをしていたのである。
麻里絵は、主婦であるものの、当然のことながら女性である。久しぶりに会った
友人とも昼食後のおしゃべりに花が咲いている状態であった。

麻里絵の前歯、キレイね。何となく友人から言われた言葉に、麻里絵は、
私の前歯って若い頃から差し歯だったでしょう・・・ 虫歯が再発しちゃって
今、治療中なのよ・・・ これは、仮歯なんだけどね。そう話しながら前歯を
指差す麻里絵であった。
そうなんだぁ~ と話していた友人も、私も前歯を差し歯にしたけど、
やっぱり駄目ね。ちゃんと自費治療でセラミックの歯をいれたんだけど、
根元は黒ずんでくるし、自分の歯とだんだん色調が変わってきちゃうのよね。
確かに前歯は、真っ白いままなんだけど・・・ そう言いながら前歯を見せると、
前歯4本だけが、異常に白い感じだわ。根元は黒ずんで醜い感じがする。
もっとも、麻里絵の場合、もっと長い間使っていたためか、かなり差し歯も
老朽化していたこともあり、私なんてもっとすごかったわ。
さすがに、仮歯とはいえ、入れたばかりの歯でキレイなんだけどね。

そういえば、これから治療に行くのよ・・・ ふと麻里絵が時間を見ながら
話しかけていたのである。多分、新しい前歯が入るんじゃないかしら?
そう話すと、私も付いて行っていいかしら? 麻里絵の新しい歯を
見てみたいわ。そんな事を話していると、二人は、治療までの時間、
時間調整をすることにしていたのである。

そして暫くすると、二人は歯科医院へ向かって歩き始めていた。
歩くと10分少々・・・ 少し距離があるわね。 駅前から少し離れている
新興住宅地の中にある歯科医院へ到着すると、予約の10分前くらいであった。
麻里絵は、診察券を出すと、少し友人と待合室で待っていたのである。
そして、呼ばれると麻里絵は、診察室へ入ってゆく。
衛生士さんにエプロンをかけられると、石膏模型に付けられている人工歯が
運ばれていたのである。

先生がやってくると、検診を行ってから前歯の仮歯を外してゆく。
すでに抜歯された歯もあり、残っている歯も金属の土台が入れられている状態である。
先生はキレイに磨き上げてから、試着の準備を行っていた。
そしてその頃、麻里絵の口元は、衛生士さんによって試着の準備が行われていたのであった。
前歯の治療には、開口器が付き物だわ。それにしても、今の私ってどんな顔なの?
そう思いながら、待っていると、先生は連結されている新しい人工歯を、麻里絵の
口元へギュっと装着してゆく。そして根元部分をあわせると、噛み合わせのチェックを
行ってゆく。問題のない事を確認すると、先生は麻里絵に話していた。

前歯はとりあえず仮付けをしておきます。
次回、新しい奥歯が入りますのでその時に改めてしっかりと固定しますね。
そう説明しながら、一度前歯を外すと、奥歯の仮歯を外し、印象トレーが
用意されていたのである。先生は、上下左右の奥歯の印象を次々に
撮って行く。

そしてしばらくしてすべての印象・・・そして噛み合わせも型に取ると再び
仮歯を奥歯に装着してゆく。 すべての奥歯が装着されると、
改めて前歯のブリッジを固定してゆく。
先生は、普段使っている程度では外れないはずですが、もし外れてしまったら
いつでも来てくださいね。とりあえずもう一度取り外せるような状態に
なっていますから・・・ そう説明すると、新しい歯を取り付けてから、
麻里絵に鏡を手渡していたのである。

鏡を見ると、仮歯に比べより一層、リアルな感じであり、また何となくしっかりとした
重みも感じられる歯に、満足していたのである。仮歯の印象は、真っ白くて
キレイ・・・ という感じであったものの、今度の歯は、リアルで自然・・・という
感じだわ。やっぱり質感は、仮歯とはかなり違うみたい・・・
そう思いながら治療を終えると、待合室へ戻ってゆく。
そして、待っていた友人は、どうだった?と麻里絵に声をかけていたのである。

麻里絵は、黙って微笑むと、真っ白いながらもリアルなメタルボンドブリッジを
キラリと見せていた。 そして友人は、すごく自然ね。自分の歯みたいだわ。
確かに、白くてきれいな歯であったものの、ただ白いだけではなく、何となく
細かい模様まで再現され、見た目もチラッと見ただけでは、差し歯に見えないかも?
そんな質感であった。 事実、奥歯との境目は今まで以上にはっきり分かるわ。
奥歯は未だ仮歯の状態である。真っ白い歯であるものの、セラミックと樹脂の歯が
同居している状態であり、やはりよく見ると質感が違うのね。
二人は、お互いにそう思いながら歯科医院を後にしていたのであった。
# by sincebirth | 2007-03-13 22:48 | Final Care

Page 300~Kaori's Teeth

全顎の治療を受けていた香織の口元には、大きな仮歯があちこちに
並び、すでに自分の歯は、数えるほどしか残されていない。
仮歯ということもあり、少し不自然な歯並びではあったものの、
真っ白く輝く歯は、驚くほど美しく香織の口元で輝いていたのである。
そんなキレイに見える香織の歯も、再治療ということもあり、相当削られ
大きな治療を行い、一部の歯はすでに抜歯されている状態である。
見た目はキレイでも、強度はとても弱くなっているわ。
先生からも、硬いものは噛まないで・・・ そういわれるくらいであった。

もちろん、香織も今まで以上に食事には気をつけるようにしていたのである。
学校がお休みのとある日の午後、母親と昼食を終えると、キレイに歯を磨き
出かける支度をしていた香織は、準備が出来ると母親と外出していたのである。

今日は歯医者さんの予約の日であった。
いつもの治療は一人で行っていたものの、今日は新しい歯が入るはずであった。
母親も少し心配な事もあり、自費で行っていた治療の高額な治療費の支払いも
ある為、母親が一緒に付き添っていたのである。

歯科医院の待合室へ到着した二人は暫くの間、そのまま待っていたのである。
母親は娘の仮歯を見ると、今度の人工歯はもう少し自然になるのかしら?
自分の歯がそうであったように、せめて娘の歯も 美しくしっかりと噛めるような
歯になって欲しかったのである。
母親の歯は、すでにほとんどの歯がセラミックのブリッジになっている。
見た目には真っ白い歯が並んでいるものの、根元の部分はうっすらと
黒ずんできていたのである。それでも普段の生活に支障も無く
しっかりと噛む事が出来ていたこともあり、自分の歯がなくなっても
とりあえず、人工歯で噛む事が出来るようなそんな母親の口元であった。

暫く待っていると、香織が呼ばれ、一人で診療室へ入って行く。
衛生士にエプロンをかけられると、テーブルの上に歯列模型に
装着された人工歯が置かれているわ。
先生がやってくると、検診を行い、香織の口元にデンタルミラーを入れて
仮歯の状態を確かめていたのである。
そして、先生は仮歯を外しますね。そう説明すると仮歯を外し始めていたのである。
奥歯のブリッジの仮歯が外され、上顎奥歯のクラウンも外されてゆく。
そして前歯の仮歯が外されると、香織の口元にはほとんど歯が残っていない状態である。
金属の土台だけが目立つ口腔内には下額前歯数本の天然歯が残っているだけであった。

そして衛生士の茜は、香織の口腔内をキレイに磨いていた。
仮歯が装着されていたこともあり、金属製の土台をキレイに磨き上げてゆくのである。
先生はその間、技工されている人工歯を歯列模型から取り外し、キレイにしていたのであった。
奥歯のブリッジは大臼歯部分だけが金属歯である。小臼歯まではセラミックで
被せられている人工歯を香織の口元へ入れると、しっかりと試着を行っていたのである。
そして上顎奥歯のクラウンも次々と試着が行われていた。

先生は最後に大きな前歯をしっかりと試着すると、噛み合せのチェックを始めていたのである。
奥歯の噛みあわせをチェックすると、人工歯を外し少しずつ削り再び試着を行い
噛み合わせをあわせてゆく。
香織は、今までの仮歯とも違う噛み合わせに違和感を感じながらも、人工歯が調整
されてゆくと、徐々に違和感が少なくなってゆくのを感じていたのである。
噛み合わせをしっかりとあわせると、先生は一度すべての人工歯を外して
磨き上げてゆく。美しく磨き上げられた人工歯は再び、香織の口元へ入れられると、
しっかりと固定されていたのである。

そしてそのまま、暫くの間ギュっと噛み締めるように言われそのまま、
香織は噛み締めていた。どんな感じの歯なのかしら?
そんな不安もありながら噛み締めていると、衛生士の茜にくちをすすいでください。
そう言われ、軽く口をすすぐと、先生は香織に鏡を渡していたのである。
新しい歯が入れられた自分の口元を見ると、真っ白い歯がキレイに並んでいるわ。
大きく口を開けて奥歯を見ると、大臼歯だけがいわゆる金歯なのね。
そして前歯や小臼歯の裏側はやはり金属で補強されていたのである。
仮歯は樹脂だけで作られていたものの、金属で補強されているほうが
強度があるのかしら?ふとそんな事を思いながら、舌で触ってみる。
ヌルヌルとした金属の感触だわ。そう思っていると治療が終わり、茜が
新しい歯の注意をしていたのである。

そして、香織は待合室へ戻ってゆく。
母親に歯を見せると、裏側がしっかりと金属で補強されたセラミックの歯に
この歯ならしっかりと噛めるわ。そう思うと少しホッとしていた母親である。
受付で支払いを済ませると、二人は歯科医院を後にしていたのである。

歩きながら話している二人の口元には多くのセラミックの歯が入れられている。
入れたばかりの香織の口元の人工歯はキラキラと輝いて見えていたのであった。
# by sincebirth | 2007-03-12 06:48 | Final Care